ヴィンタートゥール, 2021年6月 – キスラー・グループは、世界初となるワイヤレス式ホイール6分力測定用システムを発売しました。これは、車両の動的挙動、耐久性、タイヤなどの試験に関連するセットアップ時間を大幅に低減することのできる革新的な技術です。この新製品KiRoad Wireless HDRは、2.4 GHz WLAN規格に準拠した遠距離無線通信(遠隔テレメトリ)機能を搭載し、既存のRoaDynホイール6分力計に使用することができます。
車両開発には高精度なホイール6分力計(WFT)を使用し、耐久性試験においては特に重要なデータとなるホイールの力とモーメントを車両のハブ上で直接測定します。このような測定は、車両の動的挙動の評価やタイヤの性能分析にも利用されます。RoaDynシリーズホイール6分力計のデータ転送には、近距離無線通信(近接テレメトリ)を採用した初のシステムでしたが、キスラーの測定技術のスペシャリストは再び新たな可能性を切り開きました。
KiRoad Wireless HDR(高速データ転送)は、ホイール6分力測定のための遠隔無線伝送機能(遠隔テレメトリ)を備えているため、車内に設置するオンボードエレクトロニクスまでの配線作業が不要です。取り付け作業の軽減や優れた操作性は、自動車メーカーやタイヤメーカー、自動車業界のサプライヤー、研究機関、モータースポーツチームといった多くのユーザーにとってメリットをもたらし、路上やテストコースでの試験に費やす貴重な時間を節約できます。
ケーブル不要の測定 ¬ フェンダーからのはみ出し量を低減
このモジュラー式システムは、キスラーのホイール6分力計と互換性のある3つのコンポーネントで構成されています。すでに業界標準として確立されているオンボードユニット(エレクトロニクス)、ホイールユニットおよびロータリエンコーダです。KiRoad Wireless HDRの主な機能とメリット:
- WLAN(無線規格:IEEE 802.11n)を介したデータ伝送
- スリップリングなどの突出する部品が無いため、車両の輪郭が変わらない
- –20 ℃(冬季の試験など)で使用可能な動作4時間の交換式バッテリパック
- CAN、DTI、Ethernetの全てのチャンネルでデジタルデータ出力が可能
- KiCenterソフトウェアまたはブラウザでシステムの設定および測定結果の表示が可能
KiRoad Wireless HDRに採用された新たなロータリエンコーダコンセプトにより、スリップリングなどのホイールの外側に装置を取り付ける必要がありません。ホイールユニットには演算およびデータ転送のためのユニットが組み込まれ、防水性を備えた着脱が容易な設計になっているため、テストエンジニアによるセットアップ時間も最小限で済みます。
KiRoad WirelessはKistler RoaDyn WFTへの後付けが容易
現行の全てのRoaDyn WFTにKiRoad Wireless HDRを搭載することが可能です。これにより、ホイール6分力計を使用するキスラーのお客様は、ケーブル不要の測定システムによるメリットが得られます。すなわちホイールのあらゆる力とモーメントに加えて、ホイールの角度と角速度も測定することができます。この新しいシステムは、導入試験段階のお客様の実際的な試験に想定されるあらゆる期待に応えることができ、KiRoad Wireless HDRは現在すでに提供可能です。