Liebherr社はトルクツール用テストベンチを使って移動式クレーンの製造品質を確保


社内試験によってコストを抑え、ノウハウを蓄積

移動式クレーンの製造では、さまざまなトルクツールが用いられています。その機械性能を保証するために、Liebherr社はキスラーの移動式試験システム「cerTest」を活用しています。このシステムを通じて、この拠点エーインゲンで用いるすべてのボルト締付けツールを定期的に検査し、トルクと締付け角度を管理し、すべての結果を正確に記録しています。「当社は現在、さまざまなメーカーのトルクドライバーを128個使用しており、これらすべてをテストする必要があります。2018年からは、VDI 2645に準拠して機械性能の4つの試験ポイントを独自にテストしており、ねじ穴に関連する試験も実施しています」と話すのは、Liebherr社のエーインゲンでプロジェクトエンジニアとしてプラント計画部門のプロジェクトリーダーを務めるHeiko Springer氏です。「私たちはA型、B型、C型ジョイント、つまり電子制御式、油圧式、空圧式といった異なる技術のドライバーを使用しているのですが、キスラーの新しいテストベンチを使用することで、より高い品質要件をクリアしています。ちなみに、当社が採用しているのは、自動車業界が要求している機械性能指数 Cm/Cmk > 1.6という厳しい基準です。」

Liebherr社のエーインゲンで実施されている、キスラーの移動式試験システム「cerTest」を使用した、移動式クレーン製造におけるボルト締付けツールの試験。

Power tool testing in Liebherr's mobile crane production plant at Ehingen with Kistler's cerTEST mobile testing system.

すべてのツールをもれなく記録

試験システム「cerTest」は、2つの内蔵シミュレータと2つの外部シミュレータを備えており、250~6,000 Nmのトルク範囲でボルト締付けツールを試験します。このシステムは、すべてのジョイントを6,000 Nmまで動的にシミュレーションできるだけでなく、ねじ穴に関連する試験では25種類の測定を実施でき、試験したボルト締付けツールの現在の性能を正確に評価することができます。この動的試験では、シミュレータも同時に回転します。静的シミュレーションと比べた場合の利点は、「ハードジョイント」(小さな締付け角度)または「ソフトジョイント」(大きな締付け角度)をシミュレートできるということです。すべてのツールと重要なジョイントがすべて記録されるため、機械性能の詳細なデータが全寿命にわたって提供されます。

Liebherr社は「cerTest」を導入することで、外部で実施する試験に要するコストを年間約30,000ユーロ以上節約できただけでなく、貴重なボルト締結技術のノウハウを自社で蓄積できるようになりました。その利点は明白です。「コストを削減できたのは確かに大きい利点ですが、それだけではありません。外部で実施する試験よりも簡単にボルト締付けプロセスのクオリティを確保でき、向上につなげることも可能になり、ボルト締付けツールの取扱いにおける知識も蓄積されます。同時に、物流的な効率アップも実現できました。ツールの搬送や再配置にかかっていた費用が不要になったためです」とSpringer氏は述べています。キスラーのテストベンチは移動式なので、すべてのボルト締付けツールを製造ラインの近くで試験することができます。そのために、「cerTest」はバッテリーモードで最大16時間作動できるようになっています。

納得の性能範囲、専門性と充実したサービス

Liebherr社が重視したことは、ツールの試験に用いるシステムが必要な範囲すべてをカバーしていることでした。Liebherr社は現在、最大6,000 Nmに対応した外付けタイプの動的シミュレータを駆使して、エーインゲンで使用している4,000 Nm以上の電動式ボルト締付けツールを試験しています。「他のサプライヤーは最大6,000 Nmの動的シミュレータを提供できなかったという点が、キスラーの製品を使用する決め手となったのは確かです。ここに、測定技術におけるキスラーの独自性と専門性、そしてボルト締付け技術における専門知識を併せて、全体として非常に満足できるパッケージとなっていました」とSpringer氏は強調します。「当社は2016年初めから、ボルト締付けツールの機械性能に関して積極的に取り組んでいます。その重要性は年々高まってきており、その傾向は今後も続くと考えられます。当社はキスラーのソリューションを活用することで、その問題に非常にうまく対応できていると思います。」

すべての試験プロセスのデータは「cerTest」に組み込まれているソフトウェア「CEUS」に保存され、包括的に記録されます。「重要だったのは、ボルト締付けツールのテストベンチに設置したアクセスポイントから無線LANを介してデータをサーバに送信できることでした。これにより、関係者全員のPCワークステーションからCEUSの試験結果にアクセスできるからです」とSpringer氏は述べています。プラント計画チームは、試験プロセスの開始段階で、電気制御式ツールを試験ポイントや特殊なジョイントの上に簡単に設定できるハンドスキャナーを使用しています。「これにより、オペレータが詳細なデータを手動入力することで生じるエラーを回避できます。また、いつ誰がどのボルト締付けツールをどの範囲で試験したかを詳細かつ正確に追跡できるようになりました」とSpringer氏は説明します。

プロジェクトがスタートしてから約1年が経過し、彼はこの成果に非常に満足しているようです。「キスラーとの素晴らしい共同作業のおかげで、私たちは難しい課題をすべて克服することができました。私たちは今回、品質管理のためのプロセスを確立しました。これにより、長期的に見てコスト節減につながるだけでなく、製造物責任についても一段高いレベルを保証できるようになりました。また、技術面の理解が深まることも、大きな意味を持ちます。当社の競争力をさらに高めるために、キスラーのその他のボルト締付け試験システムも今後導入することになる見込みで、現在すでに「ジョイントスキャンニング」の導入を検討しているところです。このシステムは、ドライバーと実際のジョイントとの間にはめ込み式センサーをセットするタイプで、ドライバーテストベンチがトルクと締付け角度を測定し、この締付けツールのデータを保存します。これにより、このツールのまさにこのジョイントについて、後で動的シミュレーションをドライバーベストベンチで実施することができます。」

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