インダストリー4.0:ネットワーク化された射出成形品製造に欠かせない型内圧センサ


ウィンタートゥール,2017年12月 —— インダストリー4.0のテーマは、産業分野を超えてあらゆるところに存在しています。射出成形品の製造において、インダストリー4.0のビジョンはすでにかなり具体化が進んでいます。その中心にあるのが一貫したデジタル化です。これにより、製品の品質が向上し、経済性が高まりました。デジタル/ネットワーク化の要求を満たすため、射出成形機にはキスラーのプロセス監視/調整システムが最適な形で装備されています。

ドイツ機械工業連盟(Germany's Mechanical Engineering Industry Association:VDMA)は、インダストリー4.0を3本の柱のモデルとして定義しています。すなわち、第1の柱「スマートマシン」とは、インテリジェントなツールによって自分で最適化できる機械を意味します。「スマートプロダクション」とは、拠点を超えた製造のネットワーク化を意味します。「スマートサービス」とは、機械またはそのコンポーネントのネットワーク化によって初めて可能になるインテリジェントなサービスやビジネスモデルのことです。

キスラーは、今日すでにこれらのモデルの最初の2つの柱について、インダストリー4.0のソリューションを射出成形機に提供しています。すなわち、「スマートマシン」の分野では、射出成形モニタりングシステム「ComoNeo」を、「スマートプロダクション」の分野では、射出成形データベースシステム「ComoDataCenter」を提供し、ネットワーク化を使って製品の品質を改善し、プロセスを最適化する、射出成形品製造向けの包括的な方工程を提案しています。これらが一体となって、射出成形プロセスを常時チェックし、最適化することで、射出成形においてますます高まる品質要求に対応する最適なシステムを提供します。

「ComoNeo」と「ComoNeoPREDICT」を組み合わせることで、射出成形プロセスを予測して最適化できます。
成形機の中に直接組み込む「ComoNeo」は、新システムの「ComoNeoPREDICT」と併用することにより、統計モデルに基づいて射出成形プロセスを最適化します。

射出成形機をインテリジェントにするComoNeo

射出成形モニタりングシステム「ComoNeo」は型内圧を監視し、それに基づいて射出成形部品の品質を評価します。金型内に組み込まれたセンサは、プロセスをチェックし、可視化することにより、より効率的な制御を実現します。型内圧は構成部品の品質と高い相関関係を有していることから、そのモニターの重要性が認められています。得られたデータを仮想の生産環境にまとめることにより、個々の射出成形サイクルを最適化できるだけでなく、プロセスの全経過をモニターし、最適化することが可能になります。

型内圧のモニターは、定義された評価要素、いわゆる評価項目(EO)を基準にして行われます。このとき、ComoNeoは、型内圧波形が規定されたとおりのパターンに沿っているかどうかをチェックします。正常な場合は「正常」(OK)、それ以外の場合は「異常」(NG)の信号が送信されます。これにより、正常部品と不良部品とを分類します。EOは、手動または自動で設定可能です。追加の便利なツールとして、統計的テストプランに基づくオンライン品質予測およびリスタートアシスタントも提供されています。

インダストリー4.0の基礎となるComoDataCenter

「スマートプロダクション」、すなわち製造のネットワーク化のために、キスラーはComoDataCenter(CDC)を提供しています。これは、すべてのComoNeoシステムおよびCoMo Injectionをネットワークでつなぎ、進行中および終了した生産のプロセスと品質に関連する生産データをデータベースにまとめるものです。従って、CDCは記録された全プロセスデータの集中データ保管として機能し、これにより射出成形機は、プロセス変動、詳細な解析オプション、過去および進行中の全生産の統計評価、ならびにすべての金型設定の保存および管理を迅速に特定できるようになります。ERPシステムやMESシステムなどの上位システムへの組み込みも計画されています。つまり、CDCはプロセスと上位システム間のデータリンク層として機能するため、全データを会社の他のシステムに問題なく接続できるというメリットが生じます。

射出成形品の製造におけるインダストリー4.0:エラー回避のための支援

近い将来、部品のトレーサビリティを明確化することが可能になことが予測されます。これを実現するために、プラスチック部品の生産では、型内圧または金型表面温度がモニタりングされます。すべてのサイクルはキャビティ毎に細分化され、製造日と製造時間を記録したタイムスタンプが与えられます。これらのデータはComoNeoに保存されます。システムに保存された情報は、製造された全部品にバーコード、QRコードなどの形で取り付けることができます。苦情が生じた場合など、後からコードをスキャンすることにより、その部品に関係する測定データセットをCDCのデータベースから直接読み出すことができます。さらに、その部品がいつ、どの機械で、どのような生産指示で製造され、評価されたか、また、その前後のプロセスがどのように経過していたかを導き出すことも可能です。これに加え、例えば機械データ、材料データ、金型データなど、MESシステムからの詳細情報もリンクさせることができます。

今日でもすでに、例えば生産管理者は、ComoNeoおよびComoDataCenterで使用されるウェブテクノロジーを介してログインし、どこにいてもリアルタイムですべてのデータを閲覧することが可能になっています。キスラーのシステムコンポーネントには、射出成形品製造におけるインダストリー4.0の実現に必要な技術的前提条件がすべて揃っています。

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