特注の測定技術で整備プロセスを最適化
プロセス改善の取り組みを実現するパートナーとして、RICOはキスラーの測定技術エキスパートを招きました。最初の課題は、制動力の測定を最適化することでした。この測定は、メンテナンスで非常に重要な役割を果たし、スイスの基準と国際基準の両方の規制の対象となります。SBB RICOのフリート技術者、ラニエリ・バラット氏は言います。「従来の私たちのプロセスは障害を起こしやすく、あまり効率的ではありませんでした。ですから、開発パートナーシップに基づき、キスラーにプロセス全体の解析と全面的な最適化を提案していただき、喜んでいます。
これを実現するために、キスラーのデジタル ソリューション エンジニアリングチームは、顧客の拠点で測定システム全体のみならず、プロセス全体について検討を加えました。目標となったのは、データの取得と評価を改善すること、および最優先課題として、操作しやすく扱いやすいシステムにすることでした。パートナー双方が協力し、キスラーの特注の測定技術をもとに、ハードウェアとソフトウェアを含む効率的な作業手順を開発しました。これは、ソリューションの実際の適合性について話し合い、テストし、必要に応じて部品の調整も行った、多段階のプロセスでした。
キスラーがRICOのために開発した新しいBFMS(制動力測定ソリューション)を構成するのは、4個の制動力センサ9303A1B、モジュール式データ取得システムKiDAQのコンパクトなバージョン、および特定用途向けソフトウェアが入ったノートパソコンです。すべてのコンポーネントが堅牢な硬質ケースにぴったりと収められ、簡単・フレキシブルに鉄道車両間で持ち運ぶことができます。測定アプリケーションソフトウェアは、RICOの従業員に支給される社有タブレットからも操作可能です。
もう一つのメリットは、システムの構造により、将来的に、圧力センサを組み込むことが可能なことです。こうすると、ブレーキディスクで作用する実際の力と、制動システムに存在する空気圧とを直接比較できるようになります。つまり、1つの測定ステップだけで、制動システム全体について結論を導き出せるようになります。
ユーザフレンドリー、効率的、将来も使用可能
RICOにとって最優先課題となったのは、システムで使用するソフトウェアソリューションでした。トレーサビリティの要件を満たす必要があり、また記録やレポートを自動的に生成できる必要がありました。この課題に応えるために、キスラーのデジタル ソリューション エンジニアリングチームは、RICOの整備プロセスを高精度でマッピングできるよう、KiStudio Labに基づく独占所有権のあるソリューションを開発しました。最初のステップは、列車のタイプを選択することです。次に、一連のボギー台車とブレーキの数を示すグラフィック表示を用いて、ステップ・バイ・ステップでプロセスが導かれます。
4個の制動力センサにより、1つのプロセスステップだけで、1つのボギー台車全体を測定することができます。このソフトウェアでは、車輪ごと、ボギー台車ごとに測定された制動力と、経時的な力の作用がひと目で把握できます。プロセス特有の主要な数値は、特定の基準値と比較され、直接分類されます。セキュリティを確保するため、一連の測定値はすべてローカルとクラウドの両方に保存されます。いつでも以前の測定値を利用することができ、包括的なデータ解析に含めることができます。
キスラーでは、顧客の投資の保護についても熟考しました。その結果、このソリューションは一貫したモジュール設計となっており、いつでも拡張可能です。必要に応じて、追加の測定モジュールを使用し、同じソフトウェアで一元的に操作することができます。こうして、6両の車両、7つのボギー台車を備えたような長い列車でも、1ステップだけで効率的に測定する可能性が開かれます。ラニエリ・バラット氏は、次のような肯定的な言葉でこのプロジェクトを要約します。「キスラーとのコラボレーションは、高度な信頼関係と建設的なアプローチが基礎にあり、こうして当社の全車両の可用性を改善し続けることができます。キスラーは、整備とメンテナンスの自動化を強化する当社の取り組みにおける重要なパートナーです。」