フライス加工における切削力の測定


フライス加工作業の間にどのような切削力が発生しますか?

フライス加工における切削力とは、接線方向に作用する切削力 Fcを指し、最も重要な力の1つです(たとえば下の図1)。力を測定するためにどのような種類の動力計を適用し、どの力を直接測定できるかに応じて、さまざま方法で計算することができます。

    どうすればフライス加工プロセスにおける切削力を測定できますか?

    フライス加工中の力を測定するために、固定式動力計と回転式動力計(RCD)の両方を使用できます。

    どうすれば固定式動力計を使用してフライス加工プロセスにおける切削力を測定できますか?

    固定式動力計は機械工具テーブルの上に取り付けられ、ワークはその上にセットされます。動力計の質量を減らし、それにより動力計のダイナミクスに与えるマイナスの影響を最小限に抑えるために、ワークは動力計に直接ボルト留めします。これにより、重い(多くの場合剛性も低い)万力を使用しなくても済みます。

    下の図1および図2に示すように、フライス加工における直交方向の力成分であるフィードフォース Ff、垂直方向のフィードフォース FfNおよびパッシブフォース Fpを、固定式動力計を使用して直接測定できます。アクティブな力 Faは、FfおよびFfNの測定値から算出できます。切削力 Fcおよび垂直方向の切削力 FcNも、FfNおよびFpの測定値から算出できます

    どうすれば回転式動力計を使用してフライス加工プロセスにおける切削力を測定できますか?

    回転式動力計(RCD)は機械スピンドルに直接挿入され、工具は適切なツールホルダを使用してRCDに接続されます。RCDは機械スピンドルに接続されているため、作業中に回転します。設置した多成分力センサにより、測定全体でスピンドルのモーメントMzを直接測定することが可能になります。

    RCDでは力を測定する間に座標軸も回転しますが、固定式動力計で測定する際は座標軸は固定であり続けます。図2では、固定式動力計で測定した力 FxとFyが緑色のベクトルで表され、RCDで測定したFxとFyは青色のベクトルで表されています。

    RCDを使用する場合、作業面に作用するアクティブな力 Faは、力 FxおよびFyから算出できます。作用する切削力 Fcおよび垂直方向の切削力 FcNは、スピンドルモーメント Mz、工具の半径およびアクティブな力 Faを使用して算出できます。

    フライス加工は極めて動的なプロセスなので、機械のプロセス安定性に対する要件が厳しくなります。切削力を測定すれば、以下のことが可能になります。

    • 工具の性能を理解・最適化
    • 機械プロセスの異常を監視・削減
    • 異なる材料の被削性を理解・比較
    • (作用する)力を監視・制御することにより、製造に関するKPI(コスト、納期、品質、環境に与える影響など)を改善できるようになります