簡易化された適格性確認と検証により、責任を除外
医療機器の製造時の品質保証が不適切であると、最悪のケースでは人に有害な影響を与えたり、死に至ることさえあります。医療機器を販売する会社は、製品が適切に機能しない事態に対してすべての責任を負うことになります。そのため業界には厳格な規制が課せられます。つまり、医療機器のメーカーだけでなく、医療機器および医薬品分野のプラントおよび機械メーカーも、大きな課題に対峙していると言えます。工程監視システムを自動生産および包装工程に組み込む場合は言うまでもありません。
彼らが直面している障害を克服できるように、キスラーは、医療エンジニアリングおよびプラント建設業界のパートナーと協力して、FDA(米国食品医薬品局)およびMDR(欧州医療機器規則)の指針を厳格に満たすmaXYmos TL ML工程監視システムを開発しました。
FDAおよびMDRに準拠した機能を搭載した工程監視システム
キスラーはこの新しいソリューションを、すでに業界全体で広く利用されている、実証済みのmaXYmos TL(トップレベル)システムをベースとして開発しました。maXYmosシリーズのすべてのシステムと同様、多数の各種センサを拡張インタフェース経由で接続するオプションにより、TL MLバージョンはセンサのデータを元に工程プロファイルを視覚化します。maXYmos TL MLは生産ラインに直接組み込まれ、2つの選択可能な変数XとYのプロファイルに基づいて、生産手順、ひいては生産品の品質の監視と評価を行います。評価対象(EO)を使用することで、たとえばプロセスバリデーションで定義した許容値を使用して、曲線の評価を特定の監視タスクに適合させることができます。この仕様に従って、システムは各ワークが定義された基準を満たすか判断し、不良品は自動的に分別されます。
maXYmos TL MLに組み込まれている各種機能は、医療技術分野の用途に適用される規制条件に準拠しています。システムのハードウェアは、医療技術分野で用いられる測定機器の固有要件にも対応しています。
- 極めて小さい測定量(力やモーメントなど)に対応する設計
- FDA規則に準拠した統合ユーザ管理
- 追跡記録:検査プロセスの変更はすべて時間およびユーザのインデックスと一緒に記録され、各製品のエンドツーエンドのトレーサビリティを確保
- 顧客の生産環境に組み込むための安全な切り替え可能なポート
- 直接のプリンタ接続により、検査記録をハードコピーとしても記録可能
新しいmaXYmos TL MLはOPC UAにも対応しているため、機械の制御システムに簡単に接続でき、上位の制御・管理システムと通信することができます。
医療機器向けに最適化された製造プロセス
キスラーの新しいプロセス監視システム maXYmos TL MLにより、医療機器メーカーや医療技術・製薬分野で稼働する機械・設備を扱うメーカーは、製造プロセスをよりスムーズに検証できるようになります。最良のシナリオでは、製造プロセスを100%検査することで、生産において不可欠なプロセスバリデーションを行わなくても済むようになります。
多くの場合に、生産設備の適格性確認は、システムの安全性を保証するための第一の要件です。このため、キスラーでは据付時の装置性能適格性確認(IQ)および運転時適格性確認(OQ)用のすぐに使用できるチェックリストを提供しています。また、測定システムを検証するため、いつでもプラント内校正を実施できます。キスラーはこのサービスを世界中の顧客に提供しています。これにより測定チェーン全体が校正されるため、生産の再適格性確認も一段と容易になります。主なメリットとして、メーカーは製品開発と革新技術をより短期間で市場に投入でき、この業界で特に重要な要素である、競争力ある優位性が得られることが挙げられます。