日本において6分力計装着車両を使用しての公道走行試験は大変多くの要望をいただいておりました。この度弊社ユーザー様は日本国内に於いてKistler 6分力計RoaDynS635を使用した公道走行試験を実施されました。
キスラーのRoaDyn® S635は、公道やテストトラック、オフロードでの試験走行や車両用テストベンチでの使用に適したホイール6分力計です。この製品は5個のロードセルがそれぞれ車両固有のアダプターに由ってホイールリムとハブに接続されホイールにかかる荷重を検出します。
続いてロードセル内で信号が増幅されハブエレクトロニクスで信号のフィルタリングとデジタル化、コーディングが行われます。最後に、データがホイール内側(ローター)またはホイールサスペンション(ステーター)に取り付けられたローター/ステーターペア経由でテレメトリーによって伝送され(内部伝送)、車載エレクトロニクス内で演算処理しデータ取得装置に出力されます。こうして得られる正確な測定結果は、車両開発の重要な基礎として役立ちます。
内部伝送(テレメトリー)により外側部品が不要
この製品では、テレメータをホイール内側に配置したことでホイール外部への張り出しも最小となります。これにより、RoaDyn® S635の公道での使用が可能になりました。構造部品とホイールリムはすべてキスラーの設計・製造によるものです。強度のシミュレーションのためにFEM解析が行われており、データシートに記載された負荷にホイール6分力計が対応できることが保証さています。
個々のロードセルをベースとするモジュール構造により、このホイール6分力計はハブとリムの形状や負荷あるいは測定範囲に関するさまざまな要望に柔軟に対応できます。処理される信号はすべてデジタル信号であり、伝送中でも高い測定精度が維持されます。
複数の広範な試験に合格
国土交通省は安全性向上に向けて、軽合金製ホイール用の基準としてJWL(Japan Light Alloy Wheelの略)を導入しました。この基準が定める高度な要件を満たした場合にのみ、公道での使用が認められます。キスラーのホイール分力計RoaDyn® S635は、広範にわたる試験の結果JWL認証を取得しました。JWL基準を満たすため、キスラーのホイール6分力計RoaDyn® S635は3つの広範にわたる試験を受ける必要がありました。そして、RoaDyn® S635は全ての試験項目に関する高度の要件を満たすことができました。さらにテレメトリーに対して電波法に関する試験が行われこれらの試験にも合格しました。
いわゆる回転曲げ疲労試験では、走行中にホイールが受ける回転荷重とモーメントの試験が行われました。ロードセル、構造部品、およびアルミニウムリムで構成されるホイール分力計のリムフランジをクランプ装置で試験機に固定し、ホイールハブの取付け面に回転曲げモーメントをかけます。そこで10万回転をクリアしました。今度はドラムを備えた試験装置で半径方向負荷耐久試験が行われ、50万回以上回転されます。それに続き13度衝撃試験では、ホイールディスクが取付け台に13度の角度で固定され、リムフランジ端部におもりを自由落下させた後、端部の亀裂、変形、空気漏れを点検します。
3つの試験の終了後には、いずれも染色浸透探傷法による亀裂検査が行われました。この検査にもキスラーのホイール分力計RoaDyn® S635は全て問題なく合格致しました。